Linuxとは

Linuxはオープンソースソフトウェア(OSS)の代表的なプロダクツです。
Linuxはオペレーションシステム(OS)です。
LinuxはLinus氏が生み出したOSのカーネルです。
LinuxはLinus氏が作り始め、多くの人や組織と共に育てあげたものです。
Linuxはスマフォやデジタル家電の機能中枢を担うものです。
LinuxはWindowsと競合するものです。
LinuxはWindowsPCと協調して、便利な世界を作り出すものです。

Linuxとは、非常に多様な用途に使われるため、短く説明するなら、その一面しか説明できません。
狭義にはLinuxとはLinuxカーネルのことです。これはオープンソースライセンスという権利形態をとって公開されたソフトウェアで、作り始めたLinus氏の名から、Linuxと名付けられました。
(特に区別する場合はLinuxカーネルと呼びます)
オープンソースライセンスでは、公開されたソフトウェアを使うことは自由、それだけでなく、改修することも、再パッケージ化することも自由です。そのため、Linuxカーネルは非常に多くの個人と大企業を含む組織が参加し、それをLinus氏が方針をまとめるカタチで育って来ました。
また、オープンソースライセンスの元、カーネルの部分的な改変を行なって、特定機器に適合させて利用されることも多く、Android製品,HDDレコーダーや地デジTVなどのデジタル家電,ルーター装置として一般家庭でも知らずに導入されており、また東証などの重要なシステムや、インターネット上のサーバーとしても広く使われていて、Linuxの恩恵を受けていない人はほとんどいないと言えます。

ただし、Linuxカーネルだけでは、実際に何の作業に使えるということはなく、必然的に多くのライブラリーやアプリケーションなどと組み合わせることによって、OS(オペレーティングシステム)へと編成されて使われています。ですから、Linuxと言えばLinux系OSのことを意味することが多く、教義のLinuxカーネルを意味して使われるのは、ある程度技術的知識がある人同士の会話においてのみと言えます。
本来は、これは区別されるべきですが、広義には、Linux系OSをLinuxと呼ぶこともできます。

Linuxを構成するもの.png

他のOSとの比較で見るLinuxの特徴

Linux系OSの多くは無料で使うことができます。

Linux系OSとしては、2014年現在、RedHat Enterprise Linux(RHEL)以外の市販品は無いかのほどに、無料で使えるLinux系OSが一般化しています。
そのため、Linux系OSは何人でも何台でも、自由に導入して使うことができるOSと認識されています。

正確にはRHEL以外にもTurboLinuxなど、市販版はいくつかありますし、これらはソフトウェア的な違い以上にサポート窓口の提供などが魅力となっています。
TurobLinuxやVineLinuxなどが売れていた1990年代は、日本語環境を整える手間を厭うために市販版が買われることもありました。

2000年代に入って、Linux系OSは多言語対応が進んだことや、自動認識機能の向上やリポジトリーの充実を経て、運が悪くなければ、手軽に導入し稼働できるOSとなっています。そのため、サポートは必ずしも必要では無いという人も増え、結果的に市販版は廃れました。

サポートビジネスや、一部の有償ソフトや有償フォントを組み合わせることで市販Linuxは企画されてきましたが、Canonical社が支援するUbuntuの登場で、ライトユーザーの注目が移り、VineLinuxは継続されながらも、市販版は廃止となりましたし、TurboLinuxも話題になることはほとんど無くなっています。

無償版ではサポート窓口が無いのは事実です。
しかし、Windowsの場合も、ごく一部のユーザー以外はMicrosoftのサポート窓口を利用することができず、Microsoftのフォーラム(掲示板のようなもの)で相談し、確実とも限らない有志の人のアドバイスを仰ぐくらいしかできません。

そういう意味では、無償であることが、直接的に不利益を生むわけではありません。

Linux系OSはシェアが低いために、誰も体験していない問題に出会う可能性は高いはずですから、運が悪ければ、大きな不満を抱えることになるかもしれません。

とは言え、無償のオープンソースソフトウェアの利用率が高いため、掲示板などで質問を見た人が、同じソフトをすぐ入手して、問題を検証できるのは強みです。
市販ソフトであれば、1000円のソフトでも、他者のトラブル調査のために、わざわざ購入することは無いので、より善意が活かされる文化を持っています。
(ただし、現段階ではシェアが小さすぎるのも事実です)


なお、Windowsであれば、OS(ライセンス)を一つしか購入していなければ、1台にしか導入できませんし、ライセンス形態によっては、故障したパソコンから、別のパソコンに移して動かすことすら認められない場合があります。
(いわゆるメーカー製PCの付属Windowsはすべてそういった制限のあるOEM版です)

新しいPCと古いPC、新しいWindowsと古いWindowsという組み合わせであれば、時期が来れば古いほうが使い続けられなくなることがあります。
そこで金銭的な追加投資が惜しいというのであれば、Linux系OSが予備パソコンの維持に役立ちます。


そしてLinux系OSに慣れ、完結した使い方が身につけば、パソコンの買い替えとOSの世代交代というめんどうくさい問題に振り回されることは無くなります。
本来、パソコン本体よりは安いOSが、パソコンの寿命を決めるなんておかしな話なのです。


Linux系OSは古いパソコンにも対応できます。

Linux系OSは、オープンソースライセンスの特徴から、多様に派生してきました。そしてこれからも派生が繰り返されます。
そのため、10年以上前のパソコンを使いたい人がある程度いれば、そのためのLinux系OSが作られたりもします。
また、不要なものを省いていけば、システムは小さくなり、負荷がちいさくなり、結果的に古いパソコンでも動くようになるとも言えます。
Macの場合、Apple社はハードウェアベンダーですから、新しいMacを買ってもらうことが前提で、MacOSXは比較的短期間で古いMacを切り捨てていくようになっています。
具体的には、最新版では初期の2006年のCore Duo搭載機が非対応です。さらに、より古い2005年までのPowerPC搭載機では、サポート切れの古いMacOSXでしか動かせません。

Windowsは古いパソコンを切り捨てる積極的な理由はありませんから、やろうと思えば2005年以前のPCでも、Windows7や8を導入できる場合があります。
しかし、新しいパソコンの魅力を引き出さなければ新しいWindowsが売れないため、必然的に新しいパソコン前提の開発が行われます。結果的に古いパソコンではまともな速度で動かなくなったり、場合によっては特定機能が無いことを理由に切り捨てざるを得ない場合もあります。

これは、WindowsというOSを、軽量版というカタチで二本立てにしない以上避けられないようです。
WindowsXP,7にはStarterエディションが提供されましたが、これは機能制限版で、けっして軽量版ではありませんでした。むしろ、軽量版Linuxで生まれたネットブックを、軽量では無いWindowsを安く提供することによって、ネットブックでは性能不足という誤解を広めたOSだったと言えます。

Windows8では、NXビット対応が必須となっているため、PentiumIIIのような1990年代のCPUでは導入自体ができませんし、NXビットが利用されなかった時代のパソコンでは、CPUがNXビット対応でもパソコンとしてはNXビットが機能せず、Windows8が導入できない場合があります。
また、導入できても、メモリー不足や、Microsoft以外が用意するデバイスドライバーが非対応といった理由で、Windows8への移行ができない場合があります。
Microsoft以外のデバイスドライバーベンダーは、つまりハードウェアベンダーですから、ハードウェアの買い替えを前提とすることにおいて、Apple社と同じ性質があるので、仕方がないのです。

しかしLinux系OSでは、ある程度新しいCPUでなければ動かないということ自体はありますが、派生して制限を緩和した軽量版が作られることがあります。2014年現在でも、PentiumIIIより古いPentiumIIでも動かせるようなLinux系OSがあり、その開発は継続中です。

また、Linuxカーネル自体は、2012年まではi386(1985年)が最低ラインでした。2013年にi386を切り捨てた開発が決定しましたが、必要であればi386用としての開発を続けることも自由です。
もっともWindows98時代のPentiumIIで動くなら、ほとんどの人は問題となりませんし、実際1980年代のCPUが切り捨てられたことは問題とはなりませんでした。

Linux系OSは、いろんなCPUで同じ環境を実現します。

いわゆるパソコンのCPUは、現在ではintel x86かx86-64(AMD64,Intel64)というアーキテクチャーのCPUが使われています。PC-9801もFM-TOWNSも初代XBOXもPS4もその中に含まれます。
そして、それが現在のWindows(Windows3.1,95,98,Me,2000,XP,7,8)が動くCPUです。

Macでは、MC68000系からPowerPC系を経て、現在はIntel64だけとなっています。x86は初代Intel Macが該当しますが、最新のMacOSXでは64bit専用化のため対応外となっています。
過渡期には二つのCPUアーキテクチャーに対応したこともありましたが、三つ対応したことはありません。

WindowsもNT3.1からNT4.0までの間ではAlpha,MIPS、PowerPCに対応したものもありましたが、アプリケーションレベルでの制限も厳しく、ほどなく廃止されてしまいました。

Linux系OSでは、利用例が有名なものを挙げても、x86,x86-64のほか、PowerPC,ARM,MIPS,SPARCなどがあり、重数種類のCPUアーキテクチャーに対応しています。

事務処理ができるようなデスクトップOSとしてのLinux系OSの環境が、すべてのアーキテクチャーで利用できるとは限りませんが、PowerPC搭載の古いMacや同系統のCell搭載のPS3でも稼働事例がありますし、ARM搭載のAndroid機に、UbuntuのようなデスクトップOSを組み込んだ事例もあります。
MIPSではNAS製品のはずの玄箱などで、USBモニターアダプターを繋ぎ、デスクトップOSを稼働させた事例があります。
SPARCでは、日本最速2013年7月現在世界三位のスーパーコンピューターである京が、Linux系OSによるクラスターシステムとして構築されています。現在最速のものはx86-64ですが、スーパーコンピュターのランキング500位まで、ほとんどのシステムがLinux系OSを利用したものとなっています。

現在では、x86,x86-64以外で注目されているのはARMアーキテクチャーのもので、Android搭載機からの転用だけでなく、TizenやUbuntu TouchといったOSがARM搭載のスマートフォンとして発売予定となっています。


WindowsRTでは省電力性の高いARMに対応し、当初はWindows8のARM版と銘打たれましたが、実際にはWindowsRTではWindows8用ソフトのほとんどが動かず、Windowsストアアプリだけが共用という限定的なものとなりました。
しかし、UbuntuのようなLinux系OSをARM搭載機に組み入れれば、事務作業や画像,動画,音楽,科学技術計算などなど、ほとんどx86-64のLinux環境と同じソフトを利用することができます。

  • 最終更新:2014-04-04 07:21:44

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